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慣れない部屋

one_shot_9.jpg離婚後地元の神戸に戻ってきた和枝。これまでの便利な広い部屋から、一人用の慣れない部屋に馴染もうとするが、日々以前の男からの電話が鳴り響く・・・

 

Maked by Mugen     >>> ラジオドラマとして聞く

 

 

 

《キャスト紹介》


女・ 加藤 和枝(29才)・・・
4年と8ヶ月後離婚した女。

男・ 相田 勇次(35才)・・・
和枝の元夫。酒と金にルーズ。

女2・和枝の友人(29才)・・・
キャリアウーマン。独身。

男2・島田 浩二(26才)・・・
和枝の会社の営業マン。

 

女N : 越してきて2ヶ月のこの部屋・・・
    5年ぶりについた新しい仕事・・・
    帰ってくるのは毎晩8時過ぎ・・・
    簡単な食事を作り、独り食べる・・・
    後は掛かってくる電話に、意味もないお喋り・・・

女2 : (受話器から)どお、和枝、ひとり暮らしは?
女  : まあね・・・
女2 : 仕事の方は?
女  : やっぱ5年のブランクは大きいわ。
女2 : キャリアウーマンカムバックね、おめでと。
    わたしも一回はお嫁に行っとかなくっちゃあね。
    でも私も結婚しても、きっと出戻ってくるタイプよね。
    でもサ、今はね、バツイチも一つのキャリアな時代なわけよ、わかる?

    (この後からセリフは次第にF・O)

    だからさ、昔みたいにコンパでもしない?
    実は私の会社の取引先の営業マンの男の子にね、
    今度飲み会でもしませんかって言われてるのよね・・・

 

女N : お風呂のドアの開け方が、まだ慣れない。
    今度のドアは引くのにね・・・
    昔のクセでつい押しちゃう。


S・E シャワーの音


女N : シャワーの響きが寂しく聞こえる・・・
    昔はそんなこと、なかったのにね・・・
    慣れない部屋は、寂しすぎる・・・


男  : (回想)君と僕の部屋の距離知ってる?
    36キロもあるだ。そんなの遠すぎると思わないかい?
    ひとつの方が便利がいいよ。


女N : 2人の部屋が1つになった期間は、4年と8ヶ月。
    そして2人の部屋はまた別々になった。
    たぶんもう一緒になることはないだろう・・・
    私の青春を返して、なんてセンチメンタルなことは言わないよ・・・
    でも、慣れない部屋は冷たすぎる・・・


男  : (回想)和枝・・・本当に出て行っちまうのか?


女N : あなたの酒グセと借金の才能には、もう疲れたの・・・
    最後二人の家を出る時に、あなたのお父様が一言
    「すまなかったね」と言ってくれた・・・
    「私が好きになった人ですから後悔はしてません」って私言ったわ。
    嘘じゃない・・・

    でもまた独りになったこの部屋は、
    慣れなくて寂しすぎる・・・


S・E 食事の食器が触れ合う音


男2 : (嬉しそうに)今日はありがとうございます。
女  : なにが?
男2 : 僕の食事の誘いに来ていただいて・・・
女  : ご馳走になってる私の方こそ、ありがとう。
男2 : いやあ、憧れの加藤さんとデート出来るなんて光栄です。
女  : センス悪いわね。バツイチの年上の女を誘うなんて、キミ。
男2 : (あわてて)そ、そんなことないッスよ!
    加藤さんは十分魅力的な女性です。
女  : ありがと、お世辞でも嬉しいわ。
男2 : もう1軒飲みに行きませんか?いい店があるんですよ。
女  : ありがと、でも今日はこれで帰るわね。
男  : やっぱ、部屋で彼氏が待ってるんッスか?
女  : 部屋はひとりよ。まだ慣れない部屋だけどね・・・

 

女N : ベッドから出る時も、壁際でつい頭を打っちゃう。
    右側から降りるクセね。
    今はそっちは壁なのに・・・

    廊下へ出る時の段差で指の先を打つ・・・
    前は家の中には段差なんてなかったのに・・・
    でもここは、昔の家じゃない。

    ここは今の私のまだ慣れてない部屋・・・

    フルマラソンを駆け抜けたランナーには、少しの休養が必要。
    男性からの誘いはもちろん嬉しいわ・・・
    でも、今のわたしも少し休ませて・・・


S・E 電話のベル。静寂の中鳴り響く・・・


女N :またお酒を飲んでるのね・・・
    もう私はあなたの女じゃないのに・・・


S・E 電話のベル止まる。


女  : まだ慣れない部屋だけど・・・
    ここにも2つだけいいものがある。

    まだ慣れない私のこの部屋は、マンションの11階。
    平屋建ての前の家にはなかった神戸の街並みが見下ろせるベランダ・・・
    そして気の利いたワインが置いてある近所のリカーショップ。

    神戸の街に生まれ、育ったわたしを神戸の夜景が少し元気をくれる・・・
    そんな神戸の街と、私の新しい人生にひとりで乾杯・・・

    またきっと元気でるよ・・・

    この部屋に慣れた頃には・・・

 

 おわり

 

慣れない部屋
Story by ushi
Model Tamami

 

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タグ : 牛のドラマシアター ドラマ シナリオ 恋愛 ラジオドラマ

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